今日は2015/12/10ですが、朝焼けがあまりにもきれいだったので写真を撮ってみました。スマホとかではあまりきれいな写真が撮れないのか、実際はもっときれいだったんですけど。
それで、写真の写りがどうのこうの言う前に、この写真ちょっと酷くありませんか?電柱が無ければずいぶん違ったものになると思います。
もちろん、電気がなければ毎日生活ができないのは当たり前なのですが。さらに、景観を気にするなら、マンションの高層階か電柱のない山奥か無人島か・・・ということになってしまいます。
でも、ちょっと待ってください。そういえば、
欧米の風景で電柱をあまり見かけません。
そこで調べてみました。
目次
欧米で電柱がない理由
そもそも、日本と欧米では歴史や文化的背景が違い過ぎます。日本は戦後急速に経済発展してきたわけで、欧米と同じと捉えるにはそもそも無理があるのかも知れません。いろいろな見方があるかと思いますが、大きな理由は3つです。
- 国民レベルの景観に対する意識(価値観)が日本とは全く異なる。よって無電柱化にコストが10倍かかるとしても、文句を言う人はいない。
- 欧米の都市計画は歴史的に見ても重みがあり、日本の戦後から始まった行き当たりばったりの都市計画とは違いすぎる。
- 欧州主要都市では1900年代に景観を規制する法律が制定されている。
(主要都市では無電柱化は、ほぼ100%です)
他にも理由はあるかも知れませんが、共通するのは国民一人一人の意識レベルの違いが無電柱化を推し進めているという事実です。
日本での無電柱化はどれくらい進んでいるか
日本でも無電柱化されている場所は増えています。奈良京都の観光地ばかりでなく、各都市の公官庁まわりは無電柱化されています。
東京オリンピックの開催を見据えて電線共同溝工事が進められたり、国土交通省も無電柱化には力を入れているようですが、なかなか計画が思うように進んでいないのが現状です。
日本では1986年から無電柱化に取り組み始めているようで、国交省調べで東京23区で7%、大阪市内で5%は無電柱化されています。また、一部では電柱が無いことを売りにした住宅地もあります。
だた、上記以外の既存の街では無電柱化が実現するのはかなり難しいと思います。したがって冒頭に載せた、きれいな朝焼けが電柱無しで見られることは、今のところ残念ながらなさそうです。
無電柱化法案がいつの間にか見送りに
1年前には話題性もあって注目も集めましたが、2015年9月に「無電柱化法案」は、ひっそりと見送りになりました。
この当たりは、最初に説明した国民一人一人の「景観」に対する意識レベルが低いためと思われます。もちろん、コストはかかりますが、コストがかかっても実行する欧米との違いは明らかです。
無電柱化のメリットとデメリット
無電柱化のメリットは、
- 景観が良くなる。
- 道路から電柱が無くなるので、車の出入りがしやすくなったり、交通の邪魔にならない。また、電柱があることによる事故が減る。
- とにかくスッキリする。
まあ、こんな感じです。
無電柱化のデメリットは、上記のメリットの逆がデメリットですがそれ以外に、
- コストがかかる。電線共同溝による埋設費用は、1km当たり約5.3億円かかる(よく電柱の10倍とか言われてますが)
- 災害時復旧がしにくくなる。
- トランス置き場の問題。よく無電柱化された道路脇で変圧のボックス状のオブジェを見たことがあるかと思います。これを置くには歩道の幅が2.5m以上必要とのこと。
実は無電柱化は災害に強い
電柱のメリットに災害時に復旧が早いと言われてますが、そもそも、無電柱化しておけば突風や電柱の倒壊による断線そのものが起こりません。地上に電線むき出しのほうが断然、災害には弱いわけです。
また、電柱の場合は断線が目視で確認できるからその方が良い場合もありますが、復旧時だけでなく点検時に、交通の妨げになり渋滞の原因となる高所作業車でガードマンを配置させて作業を行うことになります。一方、無電柱化されていれば、マンホールの蓋を開けて作業するだけの話です。
地震大国であるため電線を地中化させるときにも十分、耐震性を考えているわけですので無電柱化が災害に弱い理由になりません。
実際に東日本大震災の時に、無電柱化による目立った不具合は無かったことで安全性が確保されていることは明らかですので、コストのデメリットはあるものの無電柱化のメリットは大きいと言えます。
今日のなるほど!
国民の景観に対する意識(価値観)は欧米と比べると低い。また、コストがかかるため無電柱化は支持されない。でも、実は災害には強いしメリットはかなり大きいよ。