ちょっと先日、ネットで調べ物をしていたら、不動産競売に関するQ&Aサイトで、新大家との敷金の継承等で明らかに誤って回答されているのを発見しました。
とても単純な話ですので、わかりやすく解説したいと思います。
自分の住んでいる賃貸アパートやマンションが競売になってしまった!
そんな人はこの解説を参考にしてみて下さい。
ちなみに、「競売」は「けいばい」と読みます。辞書的には「きょうばい」と読むようですが、法律・金融・不動産の関係者で「きょうばい」と読んでいる人は一人もいません。
「けいばいと」読みましょう。(これ豆知識です)
目次
競売になったアパートに今後住み続けられるか
賃貸契約が新しい大家(競売の買受人)に引き継がれるかどうかですが、基本引き継がれないと思っておいたほうがいいです。
最初の大家さんがローンでアパートを建てたときなど(抵当権設定登記がなされているアパート)、そのアパートがその後に競売となったとします。
あなたが最初に契約した契約日が平成16年4月1日以降であれば、賃貸契約は引き継がれません。一方、平成16年3月31日までの契約日であれば、賃貸契約は引き継がれます。
つまり、古くから住んでいるかどうかで賃貸契約が引き継がれるかどうかが決まります。
これは、民法が改正されて短期賃貸借保護制度が廃止されたことによるためです。
でも安心してください。
競売となったアパートの新しい大家(競売の買受人)は、かなりの高い確率で収益目的であるため、今住んでいる人にそのまま住んでもらうことを希望することが多いです。
ただ、この場合であっても、先ほど説明したように以前の大家との賃貸契約は引き継がれませんので新大家と新たな賃貸契約を結ぶ必要があります。
ここで、大前提があります。
先ほどの賃貸契約が引き継がれない場合ですが、新しい大家は今住んでいる人と契約する義務はまったくありません。
新しい大家(競売の買受人)は今住んでる人と契約しなければならない義務は無い
残念ながら、アパートが競売となってしまった場合、新しい大家(競売の買受人)が落札代金を支払った瞬間、今住んでいるアパートの住人(賃貸契約日が平成16年4月以降の人)は、全員、
新しい大家のアパートに勝手に住んでいる人
的な扱いになります。
新しい大家が賃貸契約を希望しない場合は基本的に出て行かなくてはなりません。猶予期間は6ヵ月ということになっています。
競売になったアパートの敷金は戻ってくるか?
古くから住んでいる人を除き、敷金は戻ってきません。
先ほど説明したとおり、契約書が引き継がれるかどうかで決まります。
あなたが最初に契約した契約日が平成16年4月1日以降であれば、敷金は戻ってきません。一方、平成16年3月31日までの契約日であれば、敷金は戻ってきます。
(ここで、敷金が戻ってこないとは、新しい大家(競売の買受人)は敷金を継承していないという意味です。古い大家から敷金を返してもらえれば敷金は戻ってきます。)
さらに、新しい大家(競売の買受人)との賃貸契約を結ぶときに新たに敷金を支払わなければなりません。
これは、古い大家との間で結んだ賃貸契約と新しい大家(競売の買受人)との間で結ぶ賃貸契約は全く関係が無いからです。ですから、過去の賃貸契約での敷金を新しい大家に請求するのは筋違いということになってしまいます。
くれぐれも新しい大家(競売の買受人)に敷金を請求しないようご注意ください。
請求するのであれば、古い大家に請求すべき性質のものです。
敷金問題、これを防ぐには?
競売で新大家(競売の買受人)との間で敷金の継承がされない場合を説明しました。
これを防ぐにはどのようにすればいいでしょうか?
実は簡単に防ぐことができます。
まず、大家がアパートをローンで買っているかどうかを登記簿を取り寄せて調べます。銀行ローンでアパートを建てると抵当権の付いた登記簿となります。これを調べます。
抵当権が付いてなければ、競売となる確率は低くなります。
ただ、あまり現実的ではありません。
なぜなら、アパートを借りるときに、いちいち登記簿を調べる人なんていませんよね。
ましてや、今どき新築でも中古でもアパートをローンで買わない人はほとんどいません。ほとんどがローンでアパートを買ってます。
したがって、ローンを利用しない(抵当権がつかない)アパートはほとんど無いと思います。